動物看護師統一認定試験の受験資格取得講座に関するお知らせ

2017年5月9日

 

                   (一財)動物看護師統一認定機構
                        機構長 佐々木 伸雄

 

 動物看護師統一認定機構(2016年2月から一般財団に移行:以下機構と略)は、日本の家庭動物(伴侶動物)に対する獣医療の質の向上に必要なチーム獣医療体制整備を構築するため、チーム獣医療体制に必須の動物看護師の資格統一化を目的に、2011年に設立された。
 まず、機構内では、動物看護師として学ぶべきコアカリキュラムを策定し、その修了者に対し、統一認定試験を実施し、その合格者を「認定動物看護師」として認定することとした。また、認定動物看護師の社会的地位の確立(公的な資格化)を目指すために、動物看護師養成教育の高位平準化が必須であり、統一認定試験の受験要件は2016年3月の試験より「機構推奨コアカリキュラム」(専修学校においては総教育時間2400時間、大学においては全国動物保健看護系大学協会の「動物看護学教育標準カリキュラム」)履修者とした。現在、動物看護師養成を行う68専修学校と8大学が受験可能校となっている。
 機構においては2012年度から3年間(2015年3月の試験まで)移行期間として、機構設立以前の制度で任意団体の動物看護系資格を取得した者に対し、各種の講演会への出席や勤務年数を基に書類審査で「認定動物看護師」として登録する、あるいは、認定団体資格取得の機会を得ず動物看護職として動物病院に勤務している者を対象に、統一認定試験の受験資格を付与する措置がとられた。しかし、この移行措置が修了した現在においても、認定資格未取得の状況で動物看護職として動物病院で就業する者、もしくは結婚出産などで休職しており、資格を取得できていない者の存在が相当数にのぼると推定される。

 

 一方、2013年度より文科省委託事業で取り組んできた「社会人の学び直し事業」を継承し、関連各機関の支援のもと、2016年度(2016年4月~2018年3月)文部科学省委託事業の「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進事業」を受託した。この事業では、職域拡大を視野に入れた畜産学関連のプログラムに加え、コアカリキュラム教育開始以前の教育課程等で養成された動物看護職等に対する学び直しプログラムを策定した。学び直し教育の内容の詳細は他に譲るが(参照:http://www.h-aiken.com/relearning.html)、コアカリキュラムでも特に重要と考えられている基礎及び応用獣医学の8教科で構成された高位平準動物看護概論、動物看護学、院内コミュニケーション、クライアントエデュケーションの各実証講座が試行実施され、機構としては受験資格を付与する制度として採用できると考えた。すなわち、機構としては、この学び直し事業を活用し、未取得者に対する「認定動物看護師」資格取得の道を新たに開くこととした。
 昨年度(2016年度)は文科省委託事業の試行的実証講座として、未取得者が受けてきた教育内容や勤務歴等により、高位平準動物看護概論の8科目中複数の科目を受講し、その理解力を確認するテストを受けた者に対し、2018年3月以降の統一認定試験の受験資格を付与することとした。

 

 そこで、2017年4月以降の未取得者に対する統一認定試験の受験資格付与に関し、2016年度の試行的学び直し受験制度に対する受講内容を基とする制度を構築することとした。すなわち、2017年4月以降の受験資格付与希望者には昨年度の学び直し講座で撮影したDVDを貸与し、また、PDFファイルで(一社)全国動物教育協会のホームページに掲載される同講座で用いられた「高位平準動物看護概論」テキストや関連教科書等を参考に自宅学習をしてもらうと同時に、高位平準動物看護概論の2日間のスクーリングを行い、スクーリングの最後に行う修了確認テストに合格した者あるいは修了確認テストに不合格となり追加課題を提出した者に統一認定試験の受験資格付与を行うものである。また、この移行措置の制度は今年から5年間(2018年3月から2022年3月の試験まで)とする予定である。
 この措置は、昨年度の学び直し事業による受験資格付与とは異なるものであり、制度上一貫していない印象を与えるかもしれない。しかし、現在、統一認定試験の受験要件はコアカリキュラム教育を修了していることであり、特にその中でも高いレベルの動物看護学履修が重要と考えられ、関連科目の自宅学習とスクーリング(および修了確認テストの合格もしくは追加課題の提出)を基準とする今回の統一認定試験受験資格付与制度は合理的かつ実際的と考えられる。

 

 認定動物看護師の公的資格化は決して容易に達成できるものではないが、現在、(一社)日本動物看護職協会、(公社)日本獣医師会、動物看護職養成教育機関及び機構の代表者からなる「認定動物看護師地位向上推進協議会」が設置(2017年2月)され、出来るだけ早急な公的資格化実現に向けた検討が開始されている。その中で、認定動物看護師が担うべき職務範囲は最も重要なテーマとして検討されるが、職務範囲の決定には、彼らがどのような教育を受けてきたか、ということが最も重要な要件である。
 今後の検討状況ならびに公的資格に向けた社会的認識の進展が必要であり、時期的にいつから、ということは明言出来ないが、もし何らかの公的資格としての認定がなされた場合、その職務範囲は認定動物看護師の職務範囲であり、認定動物看護師の資格を有しない動物看護職が不利益を被る可能性も否定できない。これらを勘案し、今回の移行措置時に多くの資格未取得者が統一認定試験の受験資格を取得して欲しいと考えている。